クリスマスソングはうるさい

 絶対に今書く内容ではないのだが、クリスマスが好きだ。十二月にクリスマス用に飾り付けられたスーパーの店内を歩いていたりすると、暖房と電飾の光があいまって頭がぼーっとしてくるあの感じが結構好き。みんなが楽しそうなのもいいし、テレビ番組とかが特に意味もなくクリスマス仕様になるのもいい。

 しかし私はクリスマスソングが嫌いだ。本当に嫌いだ。don’t like ではなくhateと表現しても差し支えないくらいだ。どうしてあんなにしゃんしゃん鈴の音が入ってくるのだろう。ぼーっとした頭であの音を聞くと頭が痛くなる。普段私はクラシックもテクノもロックもポップスも、メジャーな音楽のジャンルは一通り聴いていて、その中で好き嫌いは一応ないつもりだが、どうしても鈴の音が入ってくるクリスマスソングはだめだ。想像していただければお分かりになるだろうが、家族や友人と一緒に十二月のショッピングモールなんかに買い物に行って、みんながこの曲知ってる、聴いたことある、とか言っているなかでひとりだけ白い顔でとぼとぼと歩くのは本当に情けない。

 となると必然的に私の聴けるクリスマスソングは限られてくる。聖歌だ。私が聴けるのは荘厳な合唱曲だけなのだ。でもそんなのは嫌だ。私もみんなと一緒にクリスマスソングを聴きたい。クリスマスパーティーに参加したい。でも自分がどうしても許容できないものを許容することはできない(我ながら頑固だなあと思うのですが…)。

 このようなわけでどこかにしゃんしゃんしてないクリスマスソングはないかしら、と思っていたのだが、ついに見つけた。StraykidsのChristmas EveLだ。

 そもそもStraykidsについてはなんかスキズって呼ばれてるいかつめのKPOPのアイドルがいて、なんかThunderousという曲を歌っている、ぐらいのぼんやりした知識ぐらいしかなかった。で、ある日突然なんかスキズの曲をもっと聴いてみたいかも!と思い(この時点でMy PaceとかMIROHとかGod's Menuとかは聴いていた)、とりあえずYoutubeで検索した結果、Christmas EveLが出てきた。聴いた。すごくかっこよかった。アイドルの曲なのに恋人と過ごすホワイトクリスマス…♡みたいな情景を題材にしていない。なんか字幕にはずっと咳出るとか寒いとか書いてある。すごい。全然しゃんしゃんしていない!そういうわけで私は一気にChristmas EveLが好きになった。

 と同時に、私が望む人とのつながり方はこういうことだったのかもしれないと思った。私は昔から集団行動が好きではなくて(単に向いてないだけかもしれないが)、人とおそろいのものを持ったりするのもなんだか好きになれない。街で知らない高校生がおそろいのキーホルダーをかばんにつけて並んで歩いたりしているとかわいいな、と思うと同時に、どうしてもけっと思ってしまう。特に理由はないが、多分どこかで私は「おそろい」を、互いを縛る鎖のように感じているのだと思う。でも憧れる。私もみんなと同じように輪の中に入りたい。でもおそろいは嫌だ(うわー!意味わからん!)。

 だから私にとっての理想は例えばクリスマスにみんなで店内放送のBGMを聴いて盛り上がるのではなく、あの人は山下達郎のクリスマスイブを、この人はバッハのクリスマス・オラトリオを、という風に同じテーマを持ちつつみんなで完全に同じ方向を向かない楽しみ方だ。みんなで同じことを楽しみつつ、でもノリまでは統制されていないなら私もきっともっとクリスマスを楽しめるだろうなと思う。

 

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